ガラスの種類と機能
合わせガラス
合わせガラスは、2枚のガラスを特殊な樹脂中間膜で貼り合わせています。万一割れても破片の飛び散りがほとんどありませんので、安全性の高いガラスです。衝撃物が当たっても貫通しにくいため、防災にも有効なガラスです。また、中間膜を厚くした合わせガラスは、簡単に穴を開けにくいので、防犯性も高くなります。
強化ガラス/耐熱強化ガラス/倍強度ガラス
強化ガラスは、同じ厚さの普通のガラスの3〜5倍の強度があり、物が当たっても割れにくいガラスです。
耐熱強化ガラスは、さらに強度を高めたガラスで、防火性能が必要な窓に使われます。
どちらも、万一割れた場合には破片が細かな粒状となるため、鋭利なガラス破片による大きなケガを防ぐことができます。
倍強度ガラスは、同じ厚さの普通のガラスの2倍程度の強度があり、風が強く当たる高層住宅などの窓に使われます。倍強度ガラスは、割れても細かな破片にはなりません。
鏡(ミラー)
鏡は、ガラス片側表面に銀の膜を作り、その上に湿気などから保護するための金属膜や保護塗料などを重ねてつくられています。
ガラスについてのおことわり
- ガラスは、天然の山から採れる特別な砂を高温で溶かしてつくります。砂の中に含まれている成分によって、内部に黒色や白色の異物が入る場合があります。また高温で溶かすために内部に泡が入る場合がありますが、いずれも機能上の影響はありません。
- ガラス中に含まれる異物や泡、原料の溶けむらの影響で透視ひずみが生じる場合がありますが、機能上の影響はありません。
- 同じ種類のガラスでも、製造時期や製造会社の違いなどによって、若干の色違いが発生する場合がありますが、機能上の影響はありません。
- ガラスの表面は固いものの、それよりも固いものでこすると表面にキズがつきます。日ごろのお取り扱いでキズがつく場合がありますが、薄いキズであれば、機能上の影響はありません。
ガラスの寿命や劣化
ガラス全般
長期間使用する事により、ガラス表面に細かなキズがつくことや、クリーニングでは除去しきれない汚れが残ることなどで、透明感や光沢がそこなわれる場合があります。
合わせガラス
合わせガラスは、全面を中間膜で接着しています。ガラス周囲の小口から水分が侵入すると、中間膜が白っぽくにごったように変色して、接着されている中間膜とガラスがはく離する場合があります。
強化ガラス/耐熱強化ガラス
強化ガラス/耐熱強化ガラスは、熱処理加工の影響により、表面にキズがつきやすくなります。
鏡(ミラー)
鏡(ミラー)は、裏面に銀の薄膜がコーティングされています。銀は水分によって変化するため、裏面は保護塗料、小口は保護剤でカバーしています。裏面の保護塗料や小口の保護剤が劣化すると、銀の薄膜が水分で変化して、黒っぽい変色が生じます(この変色を、シケや腐食と呼ぶ場合があります)。
また、浴室やシャワー室などで、水分の付着と乾燥が繰り返される場合に、ガラス面に白っぽい”うろこ”状のくもりが生じて、とれなくなる場合があります。
合わせガラス
- ガラスの温度が概ね70℃以上になると、2枚のガラスを貼り合わせている中間膜に泡が生じることがあります。
- 合わせガラスの接着されている2枚のガラスの片側1枚が割れた場合、割れた片側のガラスだけを取り替えることはできません。
強化ガラス、耐熱強化ガラス
けいこく
強化ガラス、耐熱強化ガラスは、万一破損すると、細かな粒状になって全面破損します。破損後に揺れたり風が強く吹いたりして力が加わると、破片が窓枠から脱落します。粒状の破片がパラパラと落ちる場合もありますが、破片がまとまった状態で脱落する場合もあります。近くに人がいた場合、ガラスの破片を浴びたり、破片の塊が当たったりする場合があります。破片の塊の大きさによっては人にケガを負わせたり、場合によっては命に関わる事故になる場合もあります。
ちゅうい
- ガラス内部に存在する微小な異物の影響で、何もしていない状態で不意に破損することがあります。破損時には破裂音のような音を伴う場合があります。また、破損時に粒状の微細な破片が飛ぶ場合があります。
- ガラスを斜めから見た場合などに、光の干渉の影響で縞模様や斑模様が見える場合があります。
- 普通の透明ガラスに比べると、反射像がゆがんで見える場合があります。また、角度をつけて向こう側を見た場合、透視像がゆがんで見える場合があります。
- 強化ガラスや耐熱強化ガラスを使用した合わせガラスは、透視像がゆがんで見える場合があります。
- ガラス面からの力に対しては普通のガラスよりも強いですが、ガラスの破片・侵入に対する防犯効果は期待できません。
- 常時高温になる場所に使用する際には、100℃を上限としてください。また、高温に繰り返しされされる暖房器具の”のぞき窓”などへは使用しないでください。
- 強化ガラス/耐熱強化ガラスは、熱処理加工の影響により、表面にキズがつきやすくなります。
鏡(ミラー)
きんし
- 酸やアルカリを含む洗剤、有機溶剤などの化学薬品は、鏡(ミラー)の裏面の銀の膜に影響を及ぼすおそれがありますので、使用しないでください。
- ドライヤーなどの熱風を直接当てないでください。部分的に高温になって割れる場合があります。鏡の表面についた結露のくもりを取るためなどの目的で当てる場合は、ドライヤーを鏡の表面から50cm以上離してください。
ガラスのおそうじ
- 大小のちりゃほこりでも、長期間放置すると汚れが固まって取れにくくなります。定期的な清掃をこころがけましょう。
- 日常の清掃は、表面を水スプレーなどで濡らした後、水けをしぼった布かスキージーで拭いてください。最後に乾いた布で乾拭きしてください。ガラス周りのシーリングやガラスビード(ガラスとサッシの間に入っている樹脂製のパッキン)、サッシに付着した水も、キレイに拭き取ってください。
- 汚れが目立つ場合は、中性洗剤の水溶液を浸した布で拭いた後、水けをしぼった布かスキージーで拭いてください。最後に乾いた布で乾拭きしてください。
- 中性洗剤を使用しても汚れが取れない場合は、汚れの度合いに応じて、市販されているガラスクリーナー、アルカリ電解水、台所用クリームクレンザーや重曹などを併用してください。
- タバコのヤニや油の付着は、中性洗剤の水溶液を浸した布で拭くか、市販のガラスクリーナーやアルカリ電解水を使うと、大部分の汚れを落とすことができます。
- シールやラベルの糊が残ったり、接着剤などの樹脂が付着した場合は、アルコールやシンナー、ベンジンなどの溶剤を使用して拭き取ってください。溶剤を使用する際には、必ず換気をして、サッシなどの周辺部材に付着しないよう注意してください。
なお、溶剤を使用した後は、水で洗い流してから、最後に乾いた布で乾拭きしてください。
ガラスに破損やひび割れ・欠けを発見したら
けいこく
破損したガラスは、放置しておくと危険です。ガラスの破片でケガをしたり、ガラスの破片が落下したりする恐れがありますので、付近に人が近づけないように適切な処理をしてください。
ちゅうい
- ガラスにひび割れや欠けが生じている場合、たとえそれが小さなひび割れや、小口の小さな欠けであっても、放置しておくと全面破損につながる場合があります。
- 割れたガラスの破片や、割れや欠けの部分を直接手で触らないようにしてください。たとえ小さな破片や欠けでも、割れ口が鋭利な状態となっている場合があるため、深いキズを負うことがあります。血が出ている場合は、速やかに止血をしてください。血が止まらない場合は病院に行って処置を受けてください。
また、転倒して破片に手を付くなどして深く入り込んでしまった場合は、無理に触らずに、病院に行くなどして破片を除去してもらってください。
引用・参考)機能ガラス普及推進協議会、板硝子協会